森は生きている! COILLTE 「クイルチャ」の仕事

先日歩きに行ったカリグ山の森林をはじめ、家の周りの山のなかを歩いていると、こんな看板をよく目にします。
COILLTE 「クイルチャ」の管理している森
であることを示す看板です。

COILLTE 「クイルチャ」はアイルランドのことばで「森」という意味です

COILLTE 「クイルチャ」はアイルランド各地の国有森を管理運営している政府の機関です。

国土の約7パーセントを管理し、林業を運営して木材や木製パネルの製造販売をしています。
1988年に設立され、1989年1月から営業を始めました。

www.coillte.ie 

山歩きやサイクリング、キャンピング、オリエンテーリングなどができる場所の管理もしています。

ここのHPのマップから、それぞれの森のウォーキングマップがダウンロードできるようになっています。
こちらです。
すごい!

2020年6月現在、たとえば首都ダブリンに近い森を、レジャーの場所として再開発するプロジェクトを始めています。

いつも歩きに行っている身近な森で見られる、COILLTE 「クイルチャ」の仕事の様子をまとめてみましょう。

歩きやすい道をつくり守る

今年の6月はアイルランドも雨が多かったです。
雨が降っていても、どんどん歩きに行くのがアイルランド式。

6月19日 家の近くの山の道を歩きました。

こういう天気のときは、道がちょっとじめじめしていて、岩や土が混じっていると滑りやすいのです。
それでも、山の道が歩きやすく整えられているので、安心です。

森のなかの道は、ぬかるんだり、水の流れで路肩が崩れたりしないように、管理されています。
道沿いに解説の看板がありました。

この付近のトレイルは、ウォーキングのトレイルを維持管理する様々な技術をわかりやすく示すために作られています。

環境を守るだけでなく、リクリエーションに来た人たちが気持ちの良い経験になるように、サステイナブル(持続可能)なやりかたでトレイルをメンテしています。

ウィックロウェイのトレイル管理
クイルチャ アウトドア

ボランティアとCoillte(クイルチャ)が協同で設置したトレイルです。

斜面の道が、泥でぬかるんだり崩れてしまったりするのを防ぐため、石を並べた区切りや木材を渡して、階段を作ってあります。
また排水をよくするために、石を並べた溝をつけてあるところもあります。

マウンテンバイクのトレイルと林業の道、ウォーキングの道が共存

こちらは、6月5日に歩きに行ったバリナストー(Ballinastoe)の森の入り口です。
ジャウス山の山麓の広大な斜面に広がっている、国営林です。

マウンテンバイクのトレイルが設置されていて、ダブリンからもたくさんの人が目指して来るリクリエーションサイトです。
ダブリンから車で45分ほどで気軽に来られるので、とても人気があります。

マウンテンバイクのトレイルをわかりやすく表示した標識があります。

  ウォーキング専用の道(パス)=黒い点線と黄色の点線
  林業のトラックも必要があれば入ってくる幅の広い林道=茶色の線
そして
  マウンテンバイク専用の道=赤い点線

いろいろな道が、ジャウス山の山麓に広がる大きな森に、網目のように入り組んでいます。

黄色の太い線は、車道
黄色の点線は Wicklow Wayのウオーキングトレイルです。

わたしたちはもっぱらウォーキングで通ります。
林道から歩き始めて、ジャウス山(Djouce Mountain) の中腹まで登ると、素晴らしい景色が広がります。
ここは歩く専用の道です。

環境を大切に、植生を保護する

バリナストー(Ballinastoe)の森からジャウス山(Djouce Mountain)の中腹のホワイトヒル(White Hill)へ登ると、ウィックロウェイ(Wicklow Way)のウォーキングトレイルにぶつかります。

ウィックロウェイは歩きやすく快適でとても人気のある道です。
ロックテイ(Lough Tay)へ向かって高原の湿地帯を横切る道は、滑り止めを打った板の道が設置されています。

ウォーキングを楽しむ人たちの安全のためであると同時に、湿地帯の植生を保護するためでもあります。

国営地の林業

帰りにバリナストーの森を歩いていると、伐採した木の積み込みをしているトラックに会いました。

Coillte(クイルチャ)はこの木材を建材や合板に加工して国内外へ販売しています。

www.coillte.ie 

多様な種類の樹木を育てる努力 

しかし、いま最も力を入れているのは、できる限り原生林に近い状態に戻した森林を増やしていくことです。

アイルランドの国有林でも、成長が早く経済効率の良いという理由で針葉樹林の占める割合が圧倒的になってしまいました。
しかし、広葉樹も含めていろいろな種類の木を植えて森を育てる努力をしていくことが必要です。
それが、地球の温暖化を少しでも食い止めるための努力を怠らないということなのです。

成長の遅い樹木は、植えてから切り出して売れるまでに100年〜150年もの年月がかかるということです。
それでも、今からそのような努力をしていかなければならないと認識されています。

ダブリンの南の郊外の森のプロジェクトは、そのような考えで始まっています。

まとめ

家のまわりの森、いつもウォーキングで通る山道、その周りにそびえ立っている大きな木々。
何十年もかかって育てたり管理された結果、こんなふうに毎日楽しめる場所になっているのですね!

アイルランドの人や国が、どんなふうに自然とかかわっているのか。
どんな努力をしてきたのか。

これからも、少しずつ学んでいきたいと思います。

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