シーウィンケルの風車 とゴルズGolsのワイン蔵

 金曜日 いつものノイジーデルの市場に野菜を買いに(張り切って)出かけたら、「明日の夏祭の準備のため、今日は市場はお休み」
あらま〜 
しょうがないからイルミッツの八百屋さんの店まで、ひとっぱしり行ってしまいましょう・・・というわけで、またまた湖の向こう側まで、ドライブに行ってきました。

ポダースドルフの平和な動物たち

 途中 ポダースドルフ (Podersdorf )の村を通りかかると、道のそばに馬がいるのが見えました。子馬もいるみたい!帰りに見に行こうね・・・ 
八百屋さんの帰りに立ち寄ってみると。
子馬だと思ったのは、ヤギだったのでした。
馬、ロバ、ヤギが平和共存してる、のどかな場所です。
柵の外の道ばたにはウサギが 逃げたりせずに一生懸命 草を食べていました。

ポダスドルフには、こんな立派な風車もあるんです! 
道路からは羽の上のほうがちらっと見えるだけなのですが、裏の道から正面にまわってみると・・・すばらしい立派な風車。
ちゃんと保存されて解説板も備えていました。

風車の歴史


家に帰ってからHPを見てみました。こちらです。

製粉に使われていた風車 江戸時代末期1800年ごろには存在していました

 この建物は1800年ごろにできて1920年ごろまで製粉所として操業していたそうです。
 湖は近いけど川が流れていないこの地域では、水でまわす水車は作れないのです。風を利用した風車が一般的で、全部で7カ所 こういう風車がありました。
今 残っているのは、この一カ所だけなのです。

 この風車がいつ出来たものか… その正確な年月は、わかりません。
 1820年9月30日に、ウィーンのシトー派の修道院 ハイリゲンクロイツの記録に出ています。したがって、おそらく1800年頃には存在していたのだろうと考えられています。
 1829年に、今もこの風車を所有しているレンツ家が古い風車を買い取って、石と煉瓦を使って立て直しました。
 高さは14メートルあり、下のほうの土台は、ノイジーデル湖の対岸のサンマルガレーテンの石切場から持ってきた石灰岩が使われています。
 上のほうは、地元ポダースドルフで焼いた煉瓦を使っています。

 このような形の風車で木製のものであれば、風向きに合わせて建物全体の向きを変えられるようになっていました。
 しかし、このように石と煉瓦で土台を固めた風車の場合には、屋根に近いところにある木製の羽のついた部分だけを回転するようになっています
 1851年 ハンガリーの地理の記録に、この形の風車があることが記録されています。

円錐形の建物、木でできた2階建の内部に歯車と粉を引く臼がありました。

 風車の建物は円錐形です。
下のほうは直径10メートル、上のほうは先細になっており、直径7メートルです。 壁の厚さは、下のほうでは1メートルありますが、上のほうでは0.7メートルほどになっています。
 内部は2階構造
 木で出来た梁で大きな歯車を支えていました。
 風車が風力で回転すると、それを縦軸で受け、横向きについている歯車へ伝えます。2階の歯車から1階の歯車に力が伝達され、臼を回して粉を引きます。
 挽いた粉は、パイプを通って1階の袋に送られるようになっていました。
 木の床は湿った穀物を広げて乾かすためのスペースとしても使われました。

風車のしくみを、ことばで説明しても、なかなかわかりにくいので、調べてみました。こちらに図があってわかりやすいです。

風力から蒸気機関へ。そして役割を終えた風車。

 1898年(日本では明治31年)に、風のない日でも粉挽きができるように、蒸気エンジンをつけました。
 さらに1924年(大正13年)には、縦軸の部分を交換しました。
1925年には蒸気エンジンをジーゼルエンジンに交換しましたが、1926年には風車を使うのをやめてしまいました。
 風車の羽根も、落ちてしまったりすると危ないということで、短く切ってしまいました。

 1820年から1830年というと… 日本では江戸時代の終わり 幕末に至る直前の時代です。
 1823年に長崎出島のオランダ商館医としてシーボルトが来日。勝海舟が生まれました。
 1853年にはペリーの黒船が来て、日本中が大騒ぎになりました。
 オーストリアはその頃、まだハプスブルグ家の支配する大帝国の時代だったのです。だからハンガリーも同じ国だったのですよね。

長く放置されていた風車… 90年代に歴史遺産として生まれ変わりました

 第二次世界大戦のときには「武器を隠している」と連合軍が「間違えて」攻撃をしかけて屋根や羽も破壊されてしまったり・・・ぼろぼろ風車でした。
1990年代になって「歴史的建造物」として復元保存することになりました。
1989年にベルリンの壁が崩壊して、東西の冷戦の時代が終わり、それまで東側との国境線近くの辺境だったこの地域にも、西から東からたくさんの人たちが訪れるようになったのです。
そんなわけで、昔からの歴史的な遺産の見直しも、だんだんと進んできたということができます。

今も風力発電が盛んな地方です

こんな近くに風車があったなんて!びっくりの発見でした。
でも、考えてみれば、このあたりは一年を通して強風がふいているので、風車があって不思議はないのです。
現代版風車の風力発電も、このあたりはとても盛んです。
いつ見ても、ぶんぶん勢い良く廻っています。

ゴルズのワイン蔵

ドライブの最後はGolsの村。
去年の秋 ワインのお祭りのときに来たことのある場所です。

今回は村が運営している素敵なヴィノテックvinotekです。
この村の付近で作っている、いろいろな種類のワインを集めてあるので、ここへ行けば味見をしたり、買ったりできます。
 お気に入りの赤ワインを買い込んで、ついでに地下の倉も見物させてもらいました。中は素晴らしい広々した空間です。

・・・「八百屋さんに行く」だけのはずが、金曜はお昼すぎまで、あっちこっちドライブで、またまた発見の連続でした

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